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指揮■
飯守泰次郎
「飯守泰次郎こそドイツ語でKapellmeister(名指揮者)と呼ぶにふさわしく、
そこにはマエストロと言う言葉以上に大きな尊敬の念が込められている」
(バイロイト・ワーグナー・フェスティヴァル総監督 ヴォルフガング・ワーグナー)
1962年、桐朋学園短期大学音楽科(指揮科)を卒業、在学中の61年に藤原歌劇団公演「修道女アンジェリカ」にてデビュー。
1966年ミトロプーロス国際指揮者コンクール、1969年カラヤン国際指揮者コンクールでともに第4位入賞。
1972年には、芸術選奨新人賞(日本)とバルセロナのシーズン最高指揮者賞(スペイン)を受賞している。
国内では1972年から'76年まで読売日本交響楽団指揮者、国外では1970年からバイロイト音楽祭の音楽助手として
数々の歴史的公演に加わると同時に、ブレーメン、マンハイム、ハンブルク、レーゲンスブルクの各歌劇場に指揮者として籍をおいた。
エンスヘデ市立歌劇団第一指揮者を経て、
1979年から1995年までエンスヘデ市立音楽院オーケストラ指揮者(現在オーケストラ顧問)。
最近の活動は全国主要オーケストラとの定期演奏会および各種演奏会で共演を重ねており、
情熱的な音楽創りでいずれも好評を得ている。
ヨーロッパの歌劇場で積み上げてきたオペラに対する深い造詣、
特にワーグナー作品を積極的に日本楽壇へ紹介してきた功績には特筆すべきものがある。
1993年4月より1998年3月まで、名古屋フィルハーモニー交響楽団の常任指揮者を務め、
在任中は第200回定期演奏会、ワーグナー「トリスタンとイゾルデ」(抜粋・演奏会形式)、
楽団創立30周年記念演奏会(名古屋・東京)などを次々に成功へと導き、話題を集めた。
東京での30周年記念演奏会をライブ収録したCDは、1996年度文化庁芸術作品賞を受賞した。
1997年9月から、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者に就任。
2000年度ベーレンライター校訂新版によるベートーヴェンツィクルス、
2001年度ハイドン・ブラームスシリーズ、2002年度メンデルスゾーン・ブルックナーシリーズ、
そして2000年度から開始された、オーケストラ演奏を主体とした新しいアプローチによるワーグナー:楽劇「ニーベルングの指輪」
ツィクルスと次々に意欲的な企画を打ち出し、注目を集めている。
併せて、フォンテックより現在CD6タイトルを次々にリリース、充実した演奏が、各誌より絶賛を博している。
2001年1月より、関西フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者を兼任。
関西若手演奏家の積極的登用を始め、ローカリズムを打ち出した活動を根幹にした新たな活動にも期待を集めている。
第32回(2000年度)サントリー音楽賞、第54回(2003年度)芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
さらに、2004年11月には紫綬褒章を授章。 |
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ソプラノ■
菅 英三子
京都市立芸術大学・ウィーン国立音楽大学をいずれも首席で卒業。
佐々木成子氏に師事。
フランシスコ・ビニャス国際声楽コンクール“コロラトゥーラ・ソプラノ賞”、A.クラウス国際声楽コンクール第2位、
ウィーン国際新進オペラ歌手コンクール第1位、藤沢オペラコンクール第1位及び福永陽一郎賞、出光音楽賞、
青山音楽賞、芸術祭賞新人賞、新日鉄音楽賞等多数の栄誉に輝く。
91年、現プラハ国立歌劇場「後宮からの逃走」でオペラ・デビュー以来、マドリード、ウィーン、
フランクフルト放送交響楽団定期演奏会、プラハ国立歌劇場、ブレーマーハーフェン市立劇場、ブルノ国立歌劇場、
バートヘルスフェルト夏季音楽祭、ガルス夏季音楽祭の野外オペラ公演、日本国内でもオペラ公演、
オーケストラとの共演、リサイタル等で幅広く活躍。
レパートリーも幅広く、オラトリオでは、ヘンデル、バッハを始めとする宗教曲、オペラでは、モーツァルト、
ドニゼッティ、ベッリーニ、ヴェルディ、オッフェンバックのコロラトゥーラのほとんどをカバー。
卓越したコントロール・テクニックと安定した歌唱には定評があり、
サイトウ・キネン・オーケストラ特別演奏会マーラー「復活」、
ボストン交響楽団シーズンオープニング演奏会ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」(小澤征爾指揮)、
日本フィル定期ヴェルディ「レクイエム」(ジェルメッティ指揮)、
新日本フィル定期ヤナーチェク「グラゴル・ミサ」(アルミンク指揮)、
NHK響定期ブルックナー「ミサ第3番」(ブロムシュテット指揮)、PMF音楽祭マーラー「復活」(ウェンピン・チェン指揮)、
読売日響で演奏会形式ストラヴィンスキー「ナイチンゲール」(ロジェストヴェンスキー指揮)等、
共演指揮者から高い評価を得ている。
2005年は、横浜市主催「カルミナ・ブラーナ」、読売日響定期ブラームス「ドイツ・レクイエム」(G.アルブレヒト指揮)、京都市響定期R.シュトラウス「4つの最後の歌」(広上淳一指揮)、読売日響定期で日本初演演奏会形式ツェムリンスキー「夢見るゲルゲ」(G.アルブレヒト指揮)、日本フィル「第九」(小林研一郎指揮)、東京シンフォニー「ジルベスター・コンサート」等に出演、また7月2日には紀尾井ホールにてイタリア・オペラ・アリア、10月24日には歌曲のリサイタルを開催し好評を博す。
2006年は、オペラ公演ではモーツァルト「魔笛」(夜の女王)、ソリストとしてはモーツァルト「レクイエム」、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」、ヘンデル「メサイア」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、プーランク「グローリア」、ベートーヴェン「第九」等に出演、10月15日に王子ホールにてリサイタルを開催。
京都市立芸術大学助教授、宮城学院女子大学非常勤講師。 |
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アルト■
中杉知子 愛知県立明和高校音楽科を経て、東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。インターナショナル・アカデミア・リリカ・マントヴァーナ修了。ローマ歌劇場オペラ・ストゥーディオ修了。
ソプラノ・リリコ・スピントとして活動を始め、国内でオペラ、オラトリオ他、さまざまなコンサート、リサイタル、テレビ、ラジオ出演など幅広く活躍。またイタリア・マントヴァで、カテイア・リッチャレッリと共演し、ヨーロッパデビューを果たす。
その後ローマ、ミラノ、マントヴァ、ラティーナ、ラグーザ、プラハ、ピルセン他各地で、イタリア・フィルハーモニーオーケストラ、ローマ・フィルハーモニー室内オーケストラ、ピルセン・ラジオ・オーケストラ他と共演し、ペルゴレージのスターバト・マーテル、シューベルトのミサ、ガラ・コンサート、ローマ歌劇場でのコンサートなど、ヨーロッパでも数多く出演。
メゾソプラノに転向後、2002年にはイタリアの伴奏ピアニスト、アルベルト・ガッレッティと共に、東京、名古屋他各地で音楽祭やコンサートに出演。
その他ウィーンフィルのフルート奏者ヴォルフガング・シュルツとのジョイントコンサートに連続出演。またNHK交響楽団、読売日本交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、名古屋フィルハーモニー交響楽団などの国内主要オーケストラとも共演を重ねている。
また新国立劇場にて、これまでに『ホフマン物語』のアントニアの母、ステッラ、『神々の黄昏』(準メルクル指揮)第1のノルン、また『カルメン』(高校生のための鑑賞教室)のタイトルロール、さらに『蝶々夫人』(レナート・パルンボ指揮)スズキ役に出演し、いずれも好評を博している。 |
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テナー■
福井 敬 国立音楽大学声楽科卒業。同大学院修了。二期会オペラスタジオ修了。修了時に川崎静子賞。文化庁オペラ研修所修了。90年、94年文化庁派遣芸術家在外研修員等によりイタリアに留学。
平野忠彦、伯田好史、布施隆治、V.ボッローニ、G.オンニベーネの諸氏に師事。
第20回イタリア声楽コンコルソでミラノ大賞(第1位)。第20回ジロー・オペラ賞新人賞。第4回五島記念文化賞オペラ新人賞。第44回芸術選奨文部大臣賞新人賞。第25回ジロー・オペラ賞。第9回出光音楽賞。第33回エクソンモービル音楽賞洋楽部門本賞などを受賞。
92年二期会創立40周年記念『ラ・ボエーム』のロドルフォで二期会オペラデビュー以後、92年『こうもり』のアルフレード、93年『シモン・ボッカネグラ』のガブリエーレ、95年『外套』のルイージ、96年『カルメン』のドン・ホセ役と数々の二期会オペラに主演。特に、96年の二期会公演『魔笛』タミーノ、『こうもり』アルフレードの演唱に対し第25回ジロー・オペラ賞を受賞した。
また、Bunkamuraオペラ劇場における95〜97年『マダム・バタフライ』ピンカートンの3年連続の好演に続き、99〜2001年『トゥーランドット』カラフは最高の当たり役と高い評価を受けた。
新国立劇場では、97年開場記念公演『ローエングリン』でタイトルロールに始まり、『アラベッラ』マッテオ、『蝶々夫人』ピンカートン、『トスカ』カヴァラドッシ、『罪と罰』(初演)ロージャを好演。
びわ湖ホールプロデュースオペラでは、99年『ドン・カルロ』タイトルロール、『群盗』カルロ、2000年『ジョヴァンナ・ダルコ』カルロ7世、2001年『エルナーニ』タイトルロールなど大役を次々と演じて常に絶賛されている。
そして、東京フィル・オペラ・コンチェルタンテ・シリーズにおいては、2001年ツェムリンスキー『王女様の誕生日』の小人、2002年ブゾーニ『ファウスト博士』のメフィストフェレス、同年11月『イドメネオ』のタイトルロールと続けて主演。
最近では、2001−2003年二期会創立50周年記念公演シリーズの『こうもり』アイゼンシュタイン役で新境地を開き、『ホフマン物語』タイトルロール、ベルギー王立モネ劇場提携『ニュルンベルクのマイスタージンガー』ヴァルター、『カルメン』ドン・ホセに相次いで主演していずれも大喝采を浴びるなど、オペラ界において非常に重要な存在となっている。03年11月日生劇場開場40周年記念公演/二期会共催『ルル』(全3幕ツェルハ補筆完成版=日本初演)にアルヴァ役で出演の後、04年2月二期会公演『エジプトのヘレナ』メネラス役に出演。06年2月二期会オペラ・デビューを果たした同『ラ・ボエーム』のロドルフォ役、7月には『蝶々夫人』のピンカートン役で出演し、円熟味がいっそう加わった歌唱と演技で大絶賛を博した。
コンサートにおいても、ベートーヴェン「第九」「ミサ・ソレムニス」、ヘンデル「メサイア」、ハイドン「四季」、モーツァルト「レクイエム」「戴冠ミサ」、オネゲル「火刑台上のジャンヌ・ダルク」、マーラー「大地の歌」「千人の交響曲」、ストラヴィンスキー「エディプス王」等、主要オーケストラのソリストとして活躍。
また、意欲的なプログラムで2003年にスタートした彩の国さいたま芸術劇場におけるリサイタル公演をはじめとして、積極的なリサイタル活動も展開。2006年1月にはNHKニューイヤーオペラコンサートに出演した。
これらの業績努力、存在感の確かさに対して、第33回エクソンモービル音楽賞洋楽部門受賞を受賞。群を抜く誠実な音楽性と表現力豊かな歌唱で現在最も注目されているテノールである。松本隆・日本語訳『美しき水車小屋の娘』をavex
ioレーベルよりCDリリースされている。二期会会員 |
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バス■
三原 剛 大阪芸術大学卒業。
1991年第22回日伊声楽コンコルソ金賞受賞。
1992年第61回日本音楽コンクール第1位、同時に増沢賞、福沢賞、木下賞、松下賞を受賞。翌93年には、第4回五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞し、後に五島記念文化財団奨学生としてドイツのケルンに留学する。以後、国内外においてリサイタル活動やオペラ、オーケストラとの共演など、意欲的な活動を展開。
バッハ、ヘンデルなど、バロック期の宗教音楽を中心に、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームス、フォーレ、ヴェルディ、プッチーニ、マーラー、オルフなどを歌い、古典派、ロマン派、近代・現代作品へと着実にそのレパートリーを拡げている。
他に、第9回新・波の会日本歌曲コンクール第1位及び四家文子特別賞、第7回グローバル東敦子賞、平成17年度大阪文化祭賞などを受賞。
バリトノ・カヴァリエーレ(騎士的バリトン)と評される豊かで気品にあふれる声の持ち主であり、今後の飛躍が大いに期待される。 |